「発見した美味しいをシェアしたい」代官山青果店が目指す、喋れる八百屋のあり方

#ひと

代官山という洗練されたエリアで、一味違う八百屋として注目を集める「代官山青果店」。2024年12月にリニューアルオープンした同店は、単なる青果の販売にとどまらず、野菜を美味しく食べられる調味料や、全国各地のご飯のお供など、食の新しい発見を提供する場として愛されています。

今回は、代官山青果店でゼネラルマネージャーを担う井上優女さんにお話を伺い、お店のこだわりや、(ふつうの)ショップとの出会い、そして(ふつうの)ショップのどんなところに魅力を感じてくれているのか教えていただきました。


新鮮で美味しいのは当たり前だからこそ、その先の価値を提供したい

——代官山青果店がどのようなお店なのか、教えてください。

「発見した美味しいをシェアしたい」をコンセプトとした、青果のセレクトショップです。市場から厳選した野菜や、自分たちがその美味しさや生産者の人柄に惚れ込んだ食品を扱っています。

私たちが一番大切にしていることは「接客」です。例えば、新しい野菜と出合ったとき、その野菜をどう調理していいかが分からないと、買って試してみるしかないですよね。そういった経験が悪いわけではないですが、代官山青果店なら試食ができたり、その野菜を美味しく食べる方法をスタッフ全員が喋れるので、お客様が安心して「美味しい」にたどり着くことができるんです。

――なるほど、それが「発見した美味しいをシェアしたい」ということなんですね。

八百屋である以上、お客様は新鮮で美味しい野菜や果物を期待していらっしゃってくれていると思うんです。だからこそ、私たちはその先の価値をお客様に届けたいなと考えています。

――お客様に「美味しい」を伝えるためには、自分たちのインプットが必要になりますよね。

そうですね。この野菜がなぜ美味しいのか、どんな調味料と合わせるともっと美味しく食べられるのか。それらを伝えるためにも、うちのスタッフはお店の全商品を食べて、自分なりの「美味しい」を見つけてから店頭に立つようにしています。やっぱり、自分たちが本当に美味しいと思ったものだけを提供したいので(笑)。

――野菜だったら実際に調理して、いろいろな味を試しているということですか?

その通りです!実際に試行錯誤してみないと、本当のことを伝えられないですからね。また、お店ではどうしても野菜のロスが出てしまうこともあり、そのようなときに各々が持ち帰って調理の研究に活かすことも多いです。

実は私自身は、このお店で働き始めるまで、料理をすることはほとんどなかったですし、野菜にも興味があったわけではなかったんです。ところが、日常的にさまざまな味の探求をしているうちに野菜が好きになりました。

もちろん、通常の営業をしつつ、その合間や仕事終わりにそういった時間を捻出しているため、大変ではあります。それでも、お客様から「あなたがオススメしてくれた食べ方を試してみたら美味しかったよ」「私はこんな食べ方をしてみました」などの声を直接いただくたびに、本当に嬉しくて。お客様たちとの信頼関係を築けることが、私たちの大きなモチベーションになっていると思います。


地道に足を使って探すことが、信頼に繋がる

——代官山青果店では、青果のほかにも加工食品など、全国各地からセレクトした商品を扱っていますよね。そういった商品はどのように探しているんですか?

それは地道に、足を使って探しています。いま、お店には加工食品だけで200品以上の取り扱いがあり、その上で毎月3~5品は新商品を展開している状況です。

私が旅行先でたまたま出合うものもあれば、たくさんのメーカーさんが出店するEXPOでオススメされた調味料など、出合い方はさまざま。例えば、代官山青果店で人気がある「MISOソース」は、代表が鎌倉に行ったときに、料理屋の隅っこに置いてあった「MISOソース」を美味しそうだなと買ってきたことがきっかけで。そこから、どの野菜と合いそうか、餃子を合わせたら美味しいんじゃないか、などアイデアが膨らんでいったものです。

生産者の人柄に惹かれたことが入り口になることも。代官山青果店で扱うシャインマスカットは、生産者が直接売り込みに来たことが取り扱いのきっかけに

――なるほど、本当に地道ですね……!そんななか「(ふつうの)ショップ」とはどのようにして出合ったのでしょうか?

お店をリニューアルして現在の体制になってから、私が加工食品をすごく探していた時期があったんです。そのときにたまたま、「(ふつうの)ショップ」のサイトを拝見したのですが、美味しそうだったのと、ビジュアルもかっこよかったので、すぐに問い合わせをしてサンプルを送ってもらいました。

そしたら「(ふつうの)マヨネーズ」がすごく美味しくて。マヨネーズだけど、酸っぱくない。こんなレベルの高いマヨネーズは見たことがないなと思ったことを覚えています。一般的な調味料と比べると少し高いですが、それだけの価値があるものだなと感じて、代官山青果店で取り扱うことを決めました。

――代官山青果店では、(ふつうの)マヨネーズ以外にも多くの商品を扱ってくれていますが、(ふつうの)ショップの調味料ですと、どんな食べ方がオススメですか?

最近発売を開始した「(ふつうの)煎り酒」でしたら、秋ということもあり、断然、松茸の炊き込みご飯がオススメです。松茸と一緒に煎り酒を入れて炊くだけなので簡単!

世の中に甘い調味料はたくさんあると思いますが、「(ふつうの)煎り酒」は梅干しを使うことで酸味というアクセントがあり、特別だなと思います。煎り酒を入れるだけで、料理が別物になる感覚がありますね。


代官山青果店の野菜と、(ふつうの)ショップの調味料のコラボをやってみたい

現在、店頭では2025年11月19日まで「(ふつうの)ショップ」のポップアップを展開中

——「(ふつうの)ショップ」だからこその魅力をどのようなところに感じていますか。

パッと見ただけでも惹きつけられる、ビジュアルの良さは大きな魅力だと思います。生鮮食品と違って、賞味期限が短くないので、プレゼント向きですし、実際当店でもギフト需要は大きいですね。調味料のギフトというところで、新しいポジションを開拓していると思います。

もちろん、味に関してもハイクオリティなので、一度試してもらえれば良さを理解してもらえる自信があります。

だからこそ、これから先、「(ふつうの)ショップ」の商品を使ってどんな料理を提案できるか、私たちもまだまだ探していかなきゃいけないなと思っています。

——ありがとうございます。それでは最後に、代官山青果店として今後の展望を教えてください。

改めて、私たちは「発見したおいしいをシェアしたい」ということが、まず1番にあります。

それをもっと多くの人に届けたい。いまは1日60〜70人のお客様に来ていただいていますが、今後はそれを100人、200人と増やしていき、最終的には多店舗展開できるようになるまで頑張っていきたいです。

また、うちの野菜と「(ふつうの)ショップ」さんの調味料を組み合わせた商品を販売するということもいつかやってみたいと思っています!


代官山青果店

2024年12月に旧代官山青果店の事業譲渡により、代官山青果店 Produced by ReDEPとしてリニューアルオープン。
「#発見した美味しいをシェアしたい」をコンセプトに、代官山地域の皆さまへ当店バイヤーがセレクトしたこだわりの知る人ぞ知る日本中の銘品を仕入れ、我々が本当に美味しいと感じる青果・加工品の販売/提供を行う。
食材本来の美味しさに加え、さらに素材の味を最大限に活かす珍しい調味料をご紹介し、単なる販売の留まらず、新たな美味しい発見を共感して頂く従来の青果店の枠にとらわれない新しいフードコミュニケーションを目指している。

この記事を書いた人
早川大輝

1992年生まれ。Web系編集プロダクションから独立後、フリーランスの編集者・ライターとして活動しながら、最近ではYouTubeやPodcastのディレクションも。企業のオウンドメディアのほか、ドラマ・お笑いなどのエンタメや食にまつわるコンテンツ制作を行う。
X: @dai_nuko
Instagram: @uron_oolong

渥美圭

1985年生まれ。20代前半よりF DESIGN OFFICEでグラフィックデザインに携わる。2015年にBLK株式会社を設立。デザイン、写真、映像の枠を越えながら、2020年に写真館「Beatnik Photo Studio」を開業。広告から家族の記憶まで、幅広い表現を手がける。
Instagram: @beatnik_ps

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