“ふつう”を紐解く――(ふつうの)ショップが目指すもの

#へんしゅうぶ

どうして“ふつう”なのか?

(ふつうの)ショップという名前を初めて聞いたとき、多くの人が抱く疑問です。

ブランド名をより多くの人に印象付けるためには、もっと華やかで力強い言葉を選ぶこともできたはず。けれども、あえて“ふつう”という言葉を選んだのはなぜなのか。

その答えを探るために、編集部はブランドを運営する中心メンバーに話を聞きました。

彼らが口を揃えて語ったのは「日常の中にある小さなこだわりこそが、食卓を変える」という想い。そこから浮かび上がってきたのは、“ふつう”という言葉に込められた静かだが力強い想いがありました。


ふつうを紐解く。一口の驚きが教えてくれること

「足す、味わう、別格。」
この短いフレーズは、(ふつうの)ショップが届けたい体験を象徴しています。

- 足す:料理や暮らしに、小さなこだわりを添えること。
- 味わう:食事そのものだけでなく、器や香り、会話を含めて暮らしを五感で楽しむこと。
- 別格:非日常の豪華さではなく、普段の暮らしの中で、日常を特別な時間に変えてしまうような体験。

たとえば、煎り酒を白身魚にひと塗りした瞬間。梅の香りがふわりと広がり、ただの一皿が格段に引き締まる。一口でわかる鮮烈さ。

(ふつうの)ショップの商品には、こうした“一口でわかる驚き”が凝縮されています。ほんの少し足し合わせるだけで、一口で「今日は特別だ」と思える、“ふつう”の食卓を少しだけ上書きする瞬間なのです。


“ふつう”を少しだけ上書きする

ブランドが掲げるビジョンは「食卓の(ふつう)を変える。」
ブランドのすべての活動は、このビジョンにつながっています。

けれど、それは誰かの基準を正そうとすることではありません。
“ふつう”は人の数だけあり、その人が歩んできた暮らしの延長に存在します。

ある人にとっては、炊きたてのごはんと味噌汁。肩肘を張らない家庭料理が安心できる日常です。別の人にとっては、器の質感や季節の食材にこだわり抜いたスタイルこそが“ふつう”。

どちらも、その人自身が積み重ねてきた暮らしの大切な日常です。

(ふつうの)ショップが届けたいのは、その基準がほんの少しだけ上書きされる瞬間。非日常の贅沢を押し付けるのではなく、「今日はちょっと違うな」と思える小さなきっかけを重ねていくこと。

(ふつうの)ショップという名前の通り、その人自身の暮らしに根ざした“ふつう”を尊重しながら、そっと引き上げる存在でありたいのです。


思想を形にする。一流の“ふつう”を日常に届ける

この哲学を実際の商品へと落とし込むために、(ふつうの)ショップは有名レストランのシェフや熟練した作り手と開発を重ねています。

彼らにとっての“ふつう”――つまりプロの現場での当たり前を、家庭でも体験できるようにすること。それが「食卓の(ふつう)を変える」ことに繋がります。

煎り酒なら「梅の香りを自然に立たせること」。
胡麻だれなら「酸味に頼らず、ごまの甘みとコクを生かすこと」。
マヨネーズなら「卵黄のコクを保ちながら、食材の個性を消さないこと」。

一流の現場で“ふつう”とされる基準をご家庭で使える「商品」に再現するのは容易ではありません。
原料の安定的な確保、製造ラインでの再現性、価格のバランス――数え切れない課題を越えて、ようやく「これが自分の普通だ」とプロが頷ける水準に到達します。

だからこそ生まれる商品は、ただ美味しいだけではありません。「なぜ別格なのか」を語れる背景を持ち、食卓に並んだとき初めて完成する物語をまとっています。


余白が語るデザイン

(ふつうの)ショップの価値観は、味わいだけでなくデザインにも息づいています。
掲げているのは「機能的に美しく、余白のある暮らしを演出すること」。

容器やパッケージは「どこに置いても調和する」ことを前提に設計されました。
派手な装飾はなく、どんな空間にもすっと馴染む。食卓の上に置いても、冷蔵庫の中でも、ギフトとして誰かに手渡す瞬間にも。主張しすぎることなく、静かに寄り添う。

それはあなたの使い方にあわせて、暮らしにそっと溶け込む、あなただけのこだわりになります。それもまた、(ふつうの)ショップが目指す“ふつう”の一部なのです。


あなた自身の“ふつう”を紐解くきっかけに

インタビューを通じて紐解いてきたように、“ふつう”とは、決して一律の基準ではありません。
誰にとっても“ふつう”は異なり、その人の暮らしの延長にある大切なものです。

(ふつうの)ショップが届けたいのは、その基準を押し付けることではなく、少しだけ上書きすること。すでに持っている“こだわり”を尊重しながら、そっと広げたり、深めたりしていく姿勢でした。

話を聞く中で見えてきたのは、こだわりを重ねることで、人は対象への興味を深め、知識を得て、さらにそのものを好きになっていくということ。そうした小さな積み重ねが、日常の“ふつう”をじわりと引き上げ、暮らしをより豊かにしていくのだと実感しました。

「どうして“ふつう”なのか?」という問いへの回答はこう言えるでしょう。“ふつう”こそが、日常をもっとも豊かに変えられる場所だから。

ふつうの食卓に、ちいさな“足す”を。
その積み重ねが、あなたの“ふつう”をやさしく上書きし、別格のひとときを生み出していく。

それこそが、(ふつうの)ショップが目指す未来なのです。

この記事を書いた人
(ふつうの)マガジン 編集部

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